
今回から「いま編」です。いまのお部屋探しの困りごとを、国や自治体の資料で確かめながら書いていきます。最初は、保証人です。
札幌市居住支援協議会のサイトには、相談の例として「保証人が見つからなくて契約を断られた」という声が載っています。頼める人がいない。これは、めずらしい悩みではありません。
いまは、契約の約8割が保証会社を利用
国土交通省の資料によると、賃貸借契約の約8割で、家賃債務保証会社が使われています(令和3年度の調査。管理会社を対象にした調査です)。
家賃債務保証会社は、保証料を受け取って、家賃の保証を引き受ける会社です。人に頭を下げる代わりに、会社にお金を払う。いまは、こちらのほうがふつうになっています。
国には、保証会社の登録制度もあります。登録された会社は、国土交通省のサイトで確認できます。令和8年9月30日時点で125者です。
江戸にも、同じ商売がありました
これは、新しいしくみではありません。江戸時代にも、お金を受け取って保証人を引き受ける商売がありました。くわしくは江戸編②に書いています。保証人を頼めない悩みは、300年前からあったわけです。

それでも「緊急連絡先」は聞かれます
保証会社を使えば、だれの名前も書かなくていい。そう思われがちですが、少し違います。
国土交通省の調査(令和5年度・速報値)では、約8割の保証会社が「緊急連絡先」を求めていて、親族や友人など、個人であることを条件にする場合が多いとされています。
緊急連絡先は、保証人とは役割が違います。国土交通省の賃貸住宅標準契約書の注意書きには、借主に連絡を取ることのほか、急病や急変、安否の確認、水漏れなどへの対応を頼むことが想定される、とあります。
頼む相手には、「保証人ではなく、緊急連絡先をお願いしたい」と伝えてください。そして、何を頼まれる立場なのかを、契約の前に書類で確かめてください。
保証会社と保証人、両方を求められることも
もうひとつ、知っておきたいことがあります。国土交通省のサイトで公開されている相談対応の事例集(令和4年3月)には、連帯保証人がいても、保証会社の利用を条件にする物件がある、と書かれています。逆に、保証会社から保証人を求められた、という相談の例も、国の資料に載っています。
条件は、物件と保証会社によって違います。「保証人不要」と書いてあっても、申し込みの前に条件を確かめるのが確実です。
保証料は、いくら?
国土交通省が外国の方むけに出している「部屋探しのガイドブック」には、保証料について「2年間の保証で月額家賃の0.5ケ月分などが多いです」とあります。平成28年の国の資料には、初回は月額賃料の50%、その後は1年ごとに1万円とする会社が多い、とありました。
どちらも、少し前の資料です。いまの金額は会社やプランで違うので、見積もりで確かめてください。初回だけでなく、更新のときの金額も聞いておくと安心です。

人に頼む場合のルールも、変わっています
親や親類に連帯保証人を頼む場合の決まりも、2020年4月に変わりました。法務省の説明によると、個人が保証人になる「根保証」の契約は、責任を負う金額の上限(極度額)を決めなければ、無効になります。国土交通省の資料は、住宅の賃貸借の連帯保証人にも当てはまる、としています。
頼まれる側から見ると、「最大でいくらまで」が契約書に書かれるようになった、ということです。
ほかの道もあります
UR賃貸住宅。URの公式サイトには、礼金・仲介手数料・更新料・保証人が不要とあります。保証会社の利用も不要です。ただし、収入などの申込条件があります。
札幌市の相談窓口。札幌市居住支援協議会の相談窓口「みな住まいる札幌」は、高齢の方や障がいのある方など、住まいの確保に困っている方の相談を受けています。住宅の情報、生活支援サービス、福祉の相談窓口を紹介してくれます。相談は無料で、完全予約制。場所は札幌市役所本庁舎の2階です。
外国の方へ。国土交通省の「部屋探しのガイドブック」は、日本語のほか、複数の言語で公開されています。
まとめ:申し込みの前に、3つ確かめる
1. 保証会社を使えるか。保証人も必要か。
2. 緊急連絡先の条件は何か。
3. 保証料は、初回と更新でいくらか。
保証会社にも審査があります。「必ず借りられます」とは、私には言えません。ただ、保証人を頼める人がいなくても、道はひとつではありません。条件に合う物件を、いっしょに探すことはできます。
確かめた資料:国土交通省の公表資料(保証会社の利用割合、緊急連絡先の調査)/国土交通省 登録家賃債務保証業者/賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版)/民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(令和4年3月)/国土交通省「家賃債務保証の現状」(平成28年10月)/国土交通省「部屋探しのガイドブック」/法務省 民法改正のパンフレット/国土交通省 改正民法の対応事例集(令和3年3月)/UR賃貸住宅/札幌市居住支援協議会。確認したのは2026年10月8日です。
次回の「いま編」は、初期費用です。返ってくるお金と、返ってこないお金を分けてみます。あしたは明治編。敷金の話です。
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