江戸の入居審査、通りますか?|お部屋探し今むかし 江戸編③

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「江戸の入居審査、通りますか?」のタイトルと、古い路地を歩く人の後ろ姿の写真。「審査中」の印のイラスト入り
写真:京都・柳小路(撮影:ayumi kubo/Unsplash)。イメージです。「審査中」の印もイメージです。

前回、保証人は「借金を抱えていないこと」まで請け負った、と書きました。書いたあとで気になりました。借金がないなんて、どうやって調べたのでしょう。信用情報の会社も、ネットもない時代です。

大家さん、近所まで聞き込みに行く

興津要さんの『大江戸長屋ばなし』によると、江戸の大家は、借りたい本人はもちろん、家族全員の経歴、性格、素行、健康状態まで細かく尋ねたそうです。

それだけではありません。それまで住んでいた家の近所まで出かけて調べ、怪しい点があれば断りました。

いまで言えば、申込書を出したら、大家さんが前のアパートのご近所を一軒ずつ回っていた、という話です。ほぼ探偵です。個人情報という考えかたは、まだ影も形もありません。

江戸時代の宿場町の面影が残る奈良井宿の町並み
むかし:江戸時代の宿場町の面影が残る奈良井宿・長野県(撮影:Andy Arbeit/Unsplash)。イメージです。

「前の大家に聞け」は、お上の決まり

これは大家の趣味ではありませんでした。

享保15年(1730年)の江戸のお触れには、前の家主に確かめ、問題のない者なら貸してよい、という趣旨の決まりがあります。新しく借りる人については、出どころを確かめよ、とも書かれています。さかのぼって慶安3年(1650年)のお触れでは、保証人をよく吟味して、確かな人を立てさせるよう命じています。

聞き込みは、お上公認の手順だったわけです。

逃げられたら、大家の財布が痛む

なぜ、そこまでしたのか。理由ははっきりしています。

借り手が借金を残して姿を消すと、その借金は大家と保証人で肩代わりする建前でした(片倉比佐子『江戸住宅事情』)。審査が甘ければ、自分の財布に返ってきます。必死にもなります。

いまの保証会社の審査が細かいのも、理屈は同じです。立て替えるのは自分たちだからです。

調べかたは変わった。見ているものは同じ

江戸は、聞き取り、近所の評判、前の大家、保証人。令和は、申込書、収入の証明、信用情報、保証会社。道具はすっかり入れ替わりました。

けれど、確かめたいことは変わっていません。「この人は、家賃を払い続けてくれるか」。それだけです。

審査で書類をたくさん求められると、疑われているようで良い気分はしないものです。でも、近所に聞き込みに来られるよりは、だいぶ穏やかです。

机に広げたたくさんの書類に記入する手元
いま:審査は書類で(撮影:Dimitri Karastelev/Unsplash)。

なお、今回の話は、江戸の暮らしを扱った書籍の記述を、それを引用している研究ブログで確認したものです。原本に当たれたら、あらためて報告します。

次回こそ、長屋の中へ。広さは、たたみ何枚分だと思いますか?

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