
江戸編④で、長屋の部屋は畳4枚あまりだと書きました。そこに布団、着物、鍋、食器。全部そろえたら、寝る場所がなくなります。江戸の人は、どうしていたのでしょうか。
答えのひとつは「借りる」
江戸には「損料屋(そんりょうや)」という商売がありました。辞書には「料金を取って衣服・夜具・器具などを貸す店」とあります(デジタル大辞泉)。夜具とは、布団のことです。
事典には、衣服だけでなく調度、布団、装身具なども貸し出した、とあります。いまで言うレンタルショップです。
「損料」とは、借り賃のこと。使えば物は傷みます。その「損」のぶんを払う、という名前のつけかたが、妙に正直です。
この言葉は、安永2年(1773年)の笑い話の本にも出てきます。江戸編④の「九尺二間」が出てくるのも、同じ年に出た別の笑い話の本でした。狭い部屋とレンタル屋は、同じ時代の風景だったことになります。

下着まで借りられた、という話
どこまで借りられたのか。和樂webの記事には、損料屋の主力商品のひとつが「ふんどし」だった、と紹介されています。借り賃は60文。新品を買うと250文だったそうです。
借りれば、買う値段の4分の1ほど。洗濯の手間もかかりません。ただ、この数字はウェブ記事で紹介されていたもので、もとの史料には当たれていません。参考としてお読みください。
持たない暮らしは、新しくない
物を持たずに、必要なときだけ借りる。最近は「サブスク」や「シェア」と呼ばれます。江戸の人から見れば、ずいぶん遅れてやって来た流行かもしれません。
部屋探しでも、同じ考えかたが使えます。家具や家電がついた物件。必要な期間だけ借りられる家電のレンタル。遠方から引っ越す方や、単身赴任で期間が決まっている方は、「全部買ってそろえる」以外の方法も、くらべてみてください。初期費用と、引っ越しの荷物が変わります。

なお、損料屋については辞書・事典で、ふんどしの借り賃はウェブ記事で確認しました。布団の借り賃がいくらだったのかは、まだ分かっていません。宿題にします。
次回は、火事の話です。江戸の大火は、何回あったと思いますか?
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